稟議は採用課題への投資として示す

採用SNSの稟議は、「SNSを始めたい」では承認されにくい施策です。採用課題に対し、誰へ、どの導線で接点をつくり、何を基準に継続を判断する投資かを示しましょう。

この記事では、稟議前の整理項目、公式料金の比較方法、6か月総額、KPI、責任分界、転記用テンプレートを解説します。

採用SNSは、求人広告や採用サイトを置き換えるものではありません。応募前の仕事内容や職場理解を補い、説明会・見学・求人ページなどへの導線をつくる接点として位置付けます。

稟議前に前提をそろえる

稟議書を書き始める前に、採用目標と現状の応募経路を確定させます。前提が曖昧なまま費用だけを示すと、投資判断が難しくなります。

  • 対象職種、年間または半期の採用予定人数
  • 想定候補者、勤務地、現行の応募経路
  • 現状の応募数、面接数、採用数、採用単価
  • 採用広報で伝え切れていない仕事内容や職場情報
  • SNSからの到達先とする求人票、採用サイト、説明会、見学、DM

目的は、主目的を1つ、補助目的を1つまでに絞ります。再生数やフォロワー数の獲得自体を目的にせず、候補者の行動につながる役割を明記することが重要です。

稟議文例:対象職種の候補者に対し、仕事内容と職場の実態を継続的に伝え、求人ページおよび会社見学への遷移を増やす。動画の再生数は、候補者接点を確認する補助指標として扱う。

費用は6か月総額で比較する

月額だけで比較せず、契約期間内に必要な費用と自社工数を合算します。見積もりでは、次の3点を先に確認してください。

  • 撮影・交通費・広告費が月額に含まれるか
  • 契約期間と中途解約、追加制作の条件は何か
  • 自社側の確認・出演調整・応募対応に必要な時間はどの程度か

公式掲載の料金・基本条件

初期費用・投稿条件

表は横に動かして確認できます

会社名プラン名初期費用投稿本数
ピムリコライトプラン0円月5件
グランネットミニマム掲載上要確認月4本
グランネットプロフェッショナル掲載上要確認掲載上要確認
ワカッテ採用SNS運用代行プラン15万円月10本
ワカッテ採用広告運用プラン15万円月10本

撮影・広告・契約条件

表は横に動かして確認できます

会社名プラン名撮影・広告契約条件・注記
ピムリコライトプランカメラマン撮影含む、広告は要確認当月解約可、東京・大阪外は交通費要相談
グランネットミニマム撮影・広告は掲載上要確認契約期間は掲載上要確認
グランネットプロフェッショナル広告を活用、撮影は掲載上要確認契約期間は掲載上要確認
ワカッテ採用SNS運用代行プラン撮影交通費込み、広告なし最低6か月
ワカッテ採用広告運用プラン撮影交通費込み、広告費5万円込み最低6か月

料金差は、投稿本数、広告費の内包、撮影・交通費、初期費用、契約条件の違いとして読みます。自社の導線設計と必要業務に合う条件かを確認して選びましょう。

出典・確認日:ピムリコ公式、グランネット公式、

ワカッテ採用公式(2026年9月24日)

稟議に記載する6か月総額は、以下の計算欄で統一します。税別・税込を混在させず、見積書と同じ税表記にそろえてください。

6か月総額 = 初期費用 +(月額 × 6か月)
     + 広告費 + 広告運用手数料
     + 撮影交通費・出張費 + 追加制作費
     + 自社担当者工数

KPIは応募導線から逆算する

KPIは投稿本数や再生数だけで終わらせず、候補者が次に進む導線で設計します。送客が目的なら、求人ページ遷移や説明会予約などを主指標に置きます。

投稿本数 → 候補者との接点 → プロフィール遷移
→ 求人・説明会・見学ページ → 応募・面接・採用

表は横に動かして確認できます

段階主に確認する指標稟議上の位置付け
認知・理解リーチ、視聴、保存、共有反応仮説の補助指標
送客求人遷移、予約、見学申込、DM主要な行動指標
採用応募、面接、採用採用成果の確認指標

開始実績がない段階で、応募数を確約する目標は置きません。初月から2か月目は計測基盤と投稿仮説を整え、3か月目以降に導線別の接点数と有効応募の質を確認します。

採用単価は「対象期間の採用SNS総コスト÷SNS起点として把握できた採用人数」で確認します。ただし、少数採用では数値が大きく振れるため、直接流入とSNS接触後の応募を分けて月次で記録します。

自社の匿名事例では、採用SNSを約6か月運用し、応募・DM・問い合わせを合わせた候補者接点が160件超となりました。候補者接点を計測するKPI設計の参考値であり、応募数や採用数を保証するものではありません。

自社工数とリスクを明記する

外注しても、採用責任や事実確認まで委託できるわけではありません。稟議では、発注先と自社の役割を分けて記載します。

表は横に動かして確認できます

発注先に確認する範囲自社に残る対応
企画、台本、撮影、編集、投稿素材提供、出演者調整、投稿確認
分析、改善提案、広告運用応募者対応、求人票・採用サイト更新
コメント・DM対応の支援範囲炎上・誤情報時の承認と連絡

見積比較では、コメント・DM対応、広告クリエイティブ、広告出稿費、撮影回数・場所、交通費、修正回数、アカウント権限、素材・動画の利用権、更新・中途解約条件も確認します。

投稿内容と実際の仕事内容・労働条件に齟齬がないよう、投稿前確認者、確認する原典、修正履歴、緊急停止の判断者を決めておきます。

採用選考では、応募者の適性・能力に基づく公正な選考が求められます。SNSで得た、適性・能力と関係のない情報を選考基準に持ち込まないようにしてください。個別の判断は、人事・法務または公的窓口に確認する必要があります。

出典・確認日:厚生労働省「公正な採用選考を目指して」(2026年9月24日)

稟議書へ転記するテンプレート

以下の項目を埋めると、目的・費用・判断基準がつながった稟議書になります。空欄を残した項目は、承認前に担当者と決裁者で確認しましょう。

件名:採用SNS導入の承認依頼

1. 背景・採用課題
[対象職種]の採用において、[現状の課題]がある。
現行施策では[候補者の理解・接点・導線]が不足している。

2. 導入目的
主目的:[認知/仕事内容・職場理解/不安解消/送客]
補助目的:[上記以外から1つ]

3. 対象職種・候補者
対象職種:[職種名]
想定候補者:[経験・居住地・志向等]
到達先:[求人票/採用サイト/説明会/見学/DM]

4. 施策範囲
[運用するSNS]で、[発信テーマ]を投稿する。
[発注先]が担う範囲:[企画・撮影・編集・投稿等]

5. 外注先・比較理由
比較先:[会社名・プラン名]
選定理由:[必要な支援範囲と契約条件に合う理由]

6. 費用内訳と6か月総額
初期費用:[金額]
月額×6か月:[金額]
広告・交通・追加費用:[金額または要見積もり]
自社工数:[担当者・想定時間]
6か月総額:[金額]

7. KPIと計測方法
主指標:[求人遷移/予約/見学申込/応募等]
補助指標:[リーチ/視聴/保存等]
計測方法:[流入元記録、URL、予約フォーム等]

8. 自社工数・責任分界
自社対応:[確認、出演者調整、応募対応等]
承認者:[投稿前確認者、緊急停止判断者]

9. リスク対策
求人条件との照合、事実確認、修正履歴、緊急連絡フローを運用する。

10. 月次レビュー日
[毎月の報告日・参加者]

11. 継続・見直し判断条件
[導線別接点、応募の質、運用負荷、費用]を確認し判断する。

12. 承認依頼事項
[予算、契約期間、担当者、レビュー体制]の承認を依頼する。

承認後は段階ごとに検証する

承認後は、投稿開始の有無ではなく、導線と候補者接点が改善しているかを定例で確認します。初期に成果を断定せず、検証と改善の予定を稟議に含めます。

  1. 初月:アカウント、求人・予約導線、計測方法、確認フローを整える。
  2. 2〜3か月目:発信テーマと投稿形式の反応を比較し、候補者接点を検証する。
  3. 4〜6か月目:導線別の行動と有効応募を確認し、継続・見直しを判断する。

月次レビューでは、数値だけでなく、候補者から寄せられる質問や応募前の不安も確認します。採用現場の実態と発信内容がずれていないかを見直すことも、継続判断の前提です。